「森は人間を必要としないが、人間は森がなければ生きられない」

これはフィンランドのある父親が息子に語った言葉です。
その息子は有名な建築家になって自然の大切さを世界に訴えたのです。
それから80年後の今、この父親のことばが現実味を増しています。

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「ヌキブレース」の開発

3層目完成
前々回から熊本地震にも耐えられる粘りのある筋交いは実現できるのか?というテーマを取り上げています。

粘りのある構造は伝統建築に使われている「貫」構造があることを紹介しました。

これに筋交いの剛性を足し算すれば「強くて粘る」構造ができるのではないか?と考えた訳です。

そこで「九州ポリテクカレッジ」の協力を得て、今回耐力実験を行うことになりました。

この筋交いを「ヌキブレース」と呼ぶことにします。

「ヌキブレース」は私たちが開発したランバー材工法を使えば比較的簡単に作ることができます。
ランバー材工法は35X105の杉板を3層重ねてCN釘で一体化し軸組材を作るものです。
1層目

まず1層目でフレームを形成します。(写真上)

ブレース仮留め
ブレース仮留め

次にブレース(筋交い)を仮留めします。

2層目完成
2層目完成

ブレース以外の2層目を現合わせで仮留めします。

3層目
3層目

最後に3層目を釘留めして行きます。

すべて現場で現合わせかつ釘打ち作業で進めていきます。

当初素人さんには難しいのではと思っていましたが意外と容易に一人でもできます。

その最大の要因は部材が板であることです。

片手で持てるほど軽いのです。

今回は2時間ほど掛かりましたが、慣れればさらにスピードアップするでしょう。

夏休みが開けたらいよいよ耐力実験です。

暑い中、ポリテクの先生方、生徒諸君の協力に感謝です。
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2017/08/05(土) ニュース コメント(0)

古民家は強いのか弱いのか?

R0015021 (2000x1500)
 古民家は材料も太いし、柱は石の上に載っているだけで免震構造だから地震には強いだろう、と考える人がいれば、一方で全く逆の考え方をする人もいます。

 法隆寺は1300年以上も倒壊しないかと思えば阿蘇神社は今回の熊本地震で倒壊しています。一体どっちが真実なのか。
残留変形
この写真は「建物修復支援ネットワーク」さんの写真ですが古民家または伝統建築物の地震に対する対処法をよく表しているので使わせていただきました。

古民家は弱くて強い、というのが私の見解です。

判り易く言えば「柔らかくて倒れない」とも言えます。柔道の極意みたいなものです。

関東大震災の後「柔剛論争」が起こって剛派(T大学派)は筋交いを多用した現代の木造建築を推奨し、基準法にもなりました。

一方で古民家のような伝統建築は柔構造で危険だということになり、基準法から消えたのです。

どっちが正解か?答えはどっちも正解なのです。

というのも現在の耐震設計は弾塑性解析に基づいており弾性(剛性)と塑性(柔性)を考慮するからです。

鉄筋コンクリート造は剛構造に思えますが鉄筋の助けを借りて柔性を付加しています。鉄骨造は元々弾塑性の典型的な材料で構成されています。

それでは木造は、といえば現代住宅は金物の助けを借りてはいますが筋交いや枠組み壁構造は「剛」に近い。
固有周期が短い建物ですから比較的短周期の地震が来ると共振して倒壊しやすくなります。

古民家は「柔」構造で固有周期は長周期ですから長周期の地震で共振して倒壊します。

伝統建築でも地震動の特性によって、言い換えれば建っている場所の違いで、壊れたり壊れなかったりするのです。

阿蘇神社の桜門と拝殿は比較的長周期の地震動に共振したものと思われます。

加速度

このグラフは加速度応答スペクトルといわれるもので、地震による建物被害を知ることができる典型的なグラフです。

現代建築の固有周期は0.5~1.0sの間位です。伝統建築は1s以上が多いといわれています。

熊本地震はピンク色の線ですが0.5~1.0sの間の加速度が4G(重力加速度の4倍)近くまで上昇しており現代建築物に大きな初期水平荷重が作用したことがわかります。
言い換えれば現代建築に大きな被害が出たことを示しています。

同じく1~1.5秒の加速度も阪神淡路大震災ほどではありませんが比較的大きく1G程度です。
この辺の固有周期を持つ伝統的建築物は被害を受けたものがあったと思われます。
その一つが阿蘇神社の桜門と拝殿だったかも知れません。

黄緑の線は東日本大震災のものですが応答周期が0.5秒以下で加速度は振り切れるほど大きいですが急激に低下しています。
ですから被害はそう大きくは無いものと思われます。といのも瞬間的に大きな力を受けた建物は亀裂が入ったり、仕口が緩んだりして、固有周期が長くなるので大きな力を受ける時間は大変短いからです。

長くなりましたので続きは次回に譲ります。


2017/06/15(木) ニュース コメント(0)

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