「森は人間を必要としないが、人間は森がなければ生きられない」

これはフィンランドのある父親が息子に語った言葉です。
その息子は有名な建築家になって自然の大切さを世界に訴えたのです。
それから80年後の今、この父親のことばが現実味を増しています。

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東京カテドラル

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今回は趣向を変えて「東京カテドラル聖マリア大聖堂」です。

丹下健三によって設計され1964年に完成した有名な建物です。

東京は目白にあり丁度ホテル「椿山荘」の真向かいにあります。

とても53年前の建物とは思えないモダンな教会です。構造は鉄筋コンクリート造です。外壁はステンレスで仕上げられています。

丹下健三はコルビジェの門下生ですからRC造は得意でしょう。日本で最初のプリツカー賞の受賞者です。

同じプリツカー賞受賞者の安藤忠雄の作品に比べるとやはり芸術性や構造完成度では丹下健三の方が上だと感じました。

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それは内部に入ると更に強く感じます。残念ながらミサが行われていて撮影はできませんでした。

ヨーロッパの大聖堂のように音が反響し荘厳な印象を与えるように設計されています。むしろ響き過ぎです。

内壁は打ちっぱなしのコンクリートですが滑らかな仕上がりではなく古びて味があります。

音響効果が似ているのは当然でヨーロッパの古い聖堂は石造りですからコンクリート造とほぼ同じです。

ですから音を吸収する木造と正反対の音響効果で所謂「洋風」の音になるのです。

このような建物を木造でも造れると思いました。そして「東洋」の音を出してみたら面白い。

実際フィンランドには構想がこれに似たモダンな木造の教会があります。

最近木造の大規模建築が注目されていますが、構造的にはCLTによる壁構造や木質ラーメン構造です。

製材をそのまま使用した大規模建築物は法隆寺や東大寺などで現代建築ではありません。

私が存命中にできるでしょうか?

ヌキブレース実験結果


予備実験を経て、施工性と耐力に優れたヌキブレース(ビンタ差し)を採用しました。

ビンタ差しはヌキを挟み込むタイプではなく「くぼみに落とし込む」ような方式です。

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上の写真は実験後の筋交い上部ですが筋交いの抜け出し防止のため「帯金物」を釘打ちしています。

「帯金物」が変形し釘が抜け出しているのがわかります。筋交いを留めているのは7本のCN90ですがこちらは抜け出していません。

また、筋交い材はランバー材1枚分のくぼみにはめ込まれているので拘束により「割り裂き」破壊が起こりません。
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上の写真は筋交い下部の写真ですが筋交いが抜け出そうとしています。

それを「帯金物」が防いでいます。

この実験は筋交いを引っ張る方向に荷重を掛けています。最初の写真で左方向が引張りです。

この結果を告示タイプの筋交いの耐力曲線と比較しました。

ヌキブレース耐力
青い曲線がヌキブレースで、黄緑が告示タイプです。

筋交いの断面積はヌキブレースの方が小さい(告示の9割)のですが、最大耐力は1.2倍です。

注目すべき重要な点は最大耐力よりその後の耐力低下の様子です。

告示タイプが急激に耐力低下を起こしているのに対し、ヌキブレースはほぼ耐力を維持しながら変形が進行しています。

これが実はヌキブレース開発の目的だったのです。

熊本地震では前震(震度7)に続いて本震(震度7)が襲いました。

現行の基準法では震度6強が規準ですから告示タイプ筋交いの一部は前震で最大耐力に達したと思われます。

その後本震により更に水平荷重が襲えば耐力を失った筋交いは破壊します。

しかしヌキブレースは耐力を維持していますから壊れません。

ヌキブレースは通常の製材を加工することによっても製作は可能ですが、技能を必要とするノミによる刻みが必須です。

ランバー材では板を切断して重ねることでノミは不要です。しかも材料は地元の杉です。

実験では圧縮側も行っていますが壁倍率は告示タイプを3割程度上回ると思われます。

ヌキブレースは近々着工予定の建物に採用する予定です。

興味のある方は現場見学も可能です。

2017/10/12(木) ニュース コメント(0)

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